役行者母公像

  • 鎌倉時代 14世紀
  • 木造
  • 彩色
  • 一木造り
  • 像高55.7cm

母公像(ははこぞう)とは役行者さまの母君のお姿です。

口を開き厳しいご表情をされ、袈裟はつけず、右手には独鈷杵、左手には数珠をもち、草鞋履き、岩に腰を掛ける倚坐(いざ)像で、広葉樹・樟(くす)の木の一木造です。
台座の墨書には、元禄2年に今の彩色が施された、とあります。

母君のお名前は、渡都岐比売(とときひめ)或いは白専女(しらとうめ)・刀自女(とらめ)と呼ばれました。
白専女はある夜、天空から金色に輝く金剛杵(こんごうしょ)が静かに降りてきて、口の中に入るという不思議な夢をご覧になりました。そしてご懐妊されたのが役行者さまといわれます。
胎内にいるときから「神光」を放ち、ご生誕のみぎり、頭に一本の角があったという伝承もあり、これが「小角」(おずぬ)の名の由来ともいわれます。
母君は、役行者さまがお山へご修行の時はいつも麓まで同行し、見送られたといいます。
その故事に則り、後世、登拝口には母公像が祭られるようになりました。
大宝元年(701)6月7日 、役行者は老母を連れ 箕面の天上ヶ岳へ登り、母を鉄鉢に乗せ五色の雲に乗って昇天されたと伝わります。

合掌