Posts published on 4月 2016

ハピネス

ことのは つづり, 季節

櫻本坊の境内では、季節ごとに沢山の植物が顔を見せてくれます。

最近では、中庭の鈴蘭が咲き始めました!
20年前までは、夢見の桜の周りを囲むように大量に咲いていたそうなのですが、いつの間にか咲かなくなり、ここ数年中庭に移動し(笑)咲き始めた鈴蘭たち。

リリーオブザバレー

館内を歩いていると、ふわっと、とっても良い香りがして、思わずクンクン^^笑
風にのって運ばれてくる、あまりにも素敵な香り。
空気が澄んでいるからこそ、この微かな香りも察知できるんやなあ〜
とあらためて幸せを感じます。

香りの心身への効果ってバカにできなくて。
植物療法の学校で、嗅覚について学んでいるとき、そのメカニズムにすごく納得しました。

色んな種類の精油を香る(使用する)機会がありますが、精油が大好きな私でも、やっぱり1番良いな!と思えるのは、生の植物の香り。
その季節にしか香ることができない香木や草や花の香りを愛でることが、何より心の平和と幸福感を満たしてくれます。

そこに生命のエネルギーが溢れているからだと思います。
人間の生命もそう、命あるものは美しい。

心地よく感じる香りや、落ち着く香りは、もちろん人によって様々ですが、寺社仏閣を包む香りというものにも、全て繋がりと意味があるのだ、と再確認できました。

古来、祈りが医療であり治療であると考えられていた時代、そこには祈りだけでなく、お香の香りや、蝋燭や炎の光、言霊を含め、薬草や食養でのお手当も共にあったのは事実です。僧侶が看病として実践していたアーユルヴェーダが代表的ですね。

当山の境内、また周りの自然の中は、今まで気づかなかったけれど、実は薬草・ハーブの宝庫。

ハーブ(実際に採れた薬草達!ローズマリー・スギナ・ネトル・セージ・ペパーミント・ヨモギ・メリッサ)

ヤマト橘

(こちらの大和橘は、自然にあったものではないのですが、ご縁で今年の初めに植えられ仲間入りしました。身体に良いのはもちろん、場の浄化にも良いのだそう)

浄化のハーブも多いので、こういった植物や自然によっても、神仏は守られてきたんだろうな〜と、自然と神仏の共存の歴史や、自然に手を合わせる精神をもつ私たち日本人の心を思いました。

空にも木にも川にも石にも土にも・・全てに神様は宿っていて。

櫻本坊を包んでくれる環境の一つの理想の姿・形として、これからも自然と共に時間が流れるような、例え小さな一輪の花でさえも、訪れる人の心を癒せるような・・そんな自然界・地球・宇宙からの愛が溢れる場所でありたいです。

ここ数年、当山の流れに変化が沢山ありました。
(現在も進行中です^^)
その変化は、違和感や反抗や葛藤や否定や拒絶ではなく、むしろ本当のありのままの姿に戻るような、軸をたてなおし更に深く根を張って行くような、心の自由に導かれるような。

修験道だから、こうあらなければならない。
今までこうだったから、これからもこうでなければいけない。

そんなことありません。

伝統や教えは守ることだけではなくて。
もっと大事なのは伝えていくこと。繋げていくこと。

「一般の者はダメですか?」
「行者さんしかダメですか?」

そんなことありません。

伝授の内容によって受講条件(得度)がある場合を除いて、全ての方にオープンな場所であります。
これからの大きな課題としては、堂内・館内全てをバリアフリー&エコフレンドリーへと近づけるよう努めていきます。

大切なのは、あらゆる繋がりの中に、祈り・愛・感謝・希望・信じる気持ちで満ちているか。

こうあらなければならない、ことなんてないし、絶対もない。
それは、陰陽の考え方を通して、腑に落ちた事実です。

女性は陰性で、男性は陽性?
日本を作った神様は女性で、女性は太陽だから!陽性でもあるよ!

こんな風に、絶対はなくて、全ては球体みたいにいろーんな面を持っていて。それぞれが存在するから、お互いが活きて。

だから、こうあらなければいけない『未来』なんてのも、ありません。

心は自由だから。

何のために今生きているのか
それだけは それさえ忘れずに
あとは一本筋通していくことが大切なんだと思います

なかなか目には見えるものでもなく、すぐに形になるものではありませんが、自然は、私達の想いに答えててくれているように感じる日々です。

青い鳥が境内で毎日のように歌ってくれていて、フクロウも入ってきてくれて、ツバメが巣を作ったり、あんなに小さいてんとう虫なはずなのに、結構な頻度で境内の至る所で見かけたり。

そして、これもまた幸せのシンボルである鈴蘭が、数年前よりも増えてきていること。

何ともないことかもしれませんが、こういった平和で幸せに満ちた場所に、もっともっと近づいていきますように!

本物を提供できる場所
沢山の人の幸せが叶う場所
良縁に満ちた場所
心身のケアができる場所
背中をそっと押してくれる場所

どうすれば幸せになれるのかは、これもまた十人十色ですが、今の地点で私が思うには、まずは自然を愛することなんじゃないかな。

自然を愛することは、生命を愛すること、自分を愛すること、人生を愛すること、家族を愛すること、そして人を愛することに繋がっていくと、私が個人的に体感し、特別に何かあったわけじゃないけど、真っ先に幸せを感じれる毎日になり、自然という原点に戻りました。

太陽の光と暖かさに感謝する心
光は希望そのものだから
暖かさは幸福そのものだから

大地の上に立てる尊さに感謝する心
田畑に育つ食物は生命そのものだから
踏みしめる一歩の支えそのものだから

海川雨の水の循環の時間に感謝する心
全ての命へ送られる贈物そのものだから
私達の母なる存在そのものだから

これからも、自然に手を合わせる心をずっとずっと忘れずに
祈りと感謝の心がずっとずっと繋がっていきますように

当たり前こそ奇跡
日常の何気ないところに
真実は沢山あるから^^

今日も、明日も、明後日も、たっくさんの人の幸せが叶う日々でありますように・・・!
ツツジ不動君

by anju

同じ空の下で

ことのは つづり, 季節

4月7日〜18日、重要文化財である白凰時代の釈迦如来坐像の特別ご開帳、今年も無事終えることができました。

沢山の方にご参拝頂きました。
ありがとうございました。

また出仕者の行者さん達のおかげで、受付けから堂内案内、境内警備に整備、またその他の目に見えない所でのご奉仕に感謝の気持ちでいっぱいです。

毎朝の勤行での法螺貝の、力強く澄み切った音が、境内に心地よい風を吹かせてくれました。

加地さん

特別ご開帳期間中の出来事を振り返り、ハイライトの記事を書きたいと思います^^
8日に行われました 花まつり、朝日新聞さんが取材に来られ、翌日の9日に記事が掲載されました。
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年々、ありがたい事に、メデイア関連の取材も増え、また海外の取材チームの問い合わせも多く、最近ですと、ドイツ、オーストリア、またオーストラリアからチームで来られました。
(修験道や仏教・密教をテーマにした内容のみならず、日本の精神力をテーマにしたものであったり、ジャパニーズカルチャーの1部としてであったり、シューズカンパニーの取材では山伏の衣装や履物についてであったり・・と様々です)

また海外からの観光客の方の増加で、境内・館内・堂内の英語表記も可能な限りまとめ(更なるインターナショナルな環境作りに励みます)、事務でも英語の話せるスタッフがいる時は、積極的に説明や案内を心がけています!
今年は、絵馬や護摩木の願い事は、英語や中国語、スペイン語にフランス語と多いようでした。

目標は、やはり世界に向けてオープンな場所。
言葉や人種の違いを超えた、人と人が共に想い合う心が溢れる場所。

特に護摩に興味を持たれる海外の観光客の方が多く、なかなか仏教用語と専門知識を英語で説明することは難しく感じますが、日本・そして人の底力である「祈る力」「想う力」をもっと伝えて発信できるよう、自身も努力していきます。

また、大変混雑する春の吉野山で、ここ数年、当山のメデイテーション・ルームを目がけて来て下さるリピーターの方も増えました。

広間
百畳の間は、ご拝観される方どなたにも入って頂けます。
(*食事と飲酒はご遠慮いただいております)
鳥の歌声と、外から入ってくる微風、お香の香り・・
桜の景色を、このお部屋から見に来られる方も多いですが、実はそれよりも多いのが、畳の上に座って好きな間だけ静かに自分と対話する空間を求めに来られる方です。
(長い方で2時間以上滞在される方がいらっしゃいました)

帰り際に
「すごくスッキリしました。同時に満たされました^^」
と言って帰って行かれる表情に、こちらも嬉しく思います^^

海外から来られた方も「ZEN」をよく知っておられる方が多いので、よくこの広間で禅を組まれてゆっくりされています。
また、よく鳥が中に入ってくることもあります!先週はフクロウが入ってきました・・!
不思議なことに、障子も破らず、ふすまや書には傷一つつけず無事外へ出ていきました^^
幸せな空間ですね^^

詳細は、また時期を追ってお伝えてしていきますが、6月に東京で奈良を発信するイベントがあり、そのための取材と撮影が、少しずつ進んでいます!
当山からも、住職・書禅家としての顔も持つ奥様・そしてブログを担当しています私も出演させて頂きます!


sneak shots of “behind the scene”….
この日の撮影はドローンによるもので、吉野山の桜をバックに、如意輪寺さんと一緒に映像出演のワンシーンを撮って頂きました。

テーマは『未来』

プロの撮影クルーの皆さんと朗らかな時間が流れ、幸せなひと時でした^^
また日を追って、様子をお伝えしていけたら、と思います!

そして、記事の最初にも書きました、沢山の方に支えて頂き、当山はこの場所を守り伝え続けることができます。
例えば、境内に咲く小さな花一輪、その花が季節になると可憐に咲いてくれるのも、自然界の当たり前の循環のようだけれど、土や草の状態を見てケアして下さり、雨の日も晴れの日も雪の日も・・・境内の言わば土台作りをして下さる方達がいてこそ。
温かな心を向けて下さっているからこそ。
(六根清浄Tシャツの後ろ姿を撮らせてもらいました><)

坂本さん
1年を通して、境内や館内の整備だけでなく、この場所に来ることをライフワークの一つとし、また来るのを楽しみにしているんです、と言って下さる方達の支えで、当山の様々な行事は可能になります。

目に見えない所でのご奉仕について、深く考えさせられます。
沢山の人が見ている時だけ、賑わっている所だけで、人を含め目立つ事の方が取り上げられがちですが、その前後の準備や片付けや掃除、それこそもっと深い所で、普段から作業をすすんでして下さる方たちの姿は、なかなか気づかれません。


春の事務所は、朱印を求められる方の列が絶えない日々。
近畿各地から、泊まり込み、または通いで、春(特に週末)は、事務所にもサポートの方たちが来てくださいます。
どんなに忙しく、目が回るような状態の時も、笑顔を絶やさず、言葉をかけあいながら、とても穏やかな雰囲気が流れる空間を作って下さっていました^^

また朱印はお札と同じですので、一文字・一筆、心をこめて。
朱印ノートを受け渡すことも、一期一会。
すべてがご縁です。

そして、何より大事な、トイレのお掃除。
当山は、常にトイレは綺麗に清潔に保つよう心がけています。
いわゆる・・トイレの神様も大切に^^
普通なら嫌がる作業ですが、そういった現場でこそ、人が嫌がることを、できる限り率先していけるように。
誰も見てないから適当に・・見えるところだけ綺麗に・・ではなくて、誰も見ていなくても一生懸命すること。

普段の日常生活の当たり前ができなくて、日々生かされていることに感謝の気持ちを持つことができなくて、例えば道場に来た時だけ「修行」する、その時だけ、そこでだけ、それでは結局何の修行の意味があるんやろう、とふと思う出来事によく遭遇します。
お掃除の仕方一つとっても、その方の気持ちがすごく表れますよね。
本当の意味での徳の積み方、それは損得の得だけで動いているようでは、いったい何のために「修行」を求めているのか、よく考えさせられます。

以前、一番「無」になれる時とはいつか、住職に聞いたことがあります。
返ってきた答えは、こうでした。

「トイレ掃除をしているとき^^」

人が気持ちよく使ってもらえるように、来た時よりも美しく!をモットーにしています。
おかげさまで、当山のお手洗いは、よく参拝の方に喜んでいただいています^^
ネットでのレビューでも、トイレが綺麗!とお褒めのコメントをいただきました^^
ありがとうございます。

ザッと!書きました^^
このような素敵な方たちに支えて頂いて幸せです。
前の記事でもありましたように「縁の下の力持ち」の存在を、このブログを通してお伝えしていきたいです。

本日の吉野山は、晴天。
ちょっと動くと、汗ばむ季節になってきましたね。
風がむわっと暖かく、初夏を迎える準備に自然も入ったようですね。
夢見の桜の緑色が爽やかです。
八重桜は散り姿までキュートです^^


記事の最後になりましたが・・
今私たちが見上げているこの青空を、どうか、穏やかな気持ちで、愛する人たちと共に見上げる日が早く訪れますように・・・

熊本のみなさんへ、当山からもお祈りしています。
体は関西ですが、心は皆さんと共にあります。
どうか、どうか、ご無事で・・

by anju

やえ

ことのは つづり

さて
吉野山の桜の季節も、そろそろ終盤。
あっという間に時間は過ぎていきました。

しだれ降る
しだれ夕陽
葉桜になった夢見の桜の下にもぐるように立つと、上から枝が降ってくるような視点に、何だか安心感を感じたり。

夕陽が照らされる境内には、そろそろいつもの静けさが戻りつつあります。

今日は、八重桜について。
月の満ち欠けのリズムを意識しながら生活していると、日々、身体やメンタルの変化や流れ、また自然界の変化なども感じとれるようになってきました。

例えば、桜の季節である4月は、桜の香りをふと強く感じる瞬間があります。

色んな所では「さくらの香り」や「さくらの味」のものが多く出回っていますが、本当の桜の香りをご存知ですか?^^

月の満ち欠けと桜の香り。
満月の夜に満開の桜が一斉に香り立つ事は、よく知られています。

満月は Full Moon、生命力が満ちる日。
自然界も、私たち人間も、たっくさんのエネルギーの影響を受けています。

full moon

今年の4月の満月の日は、7日と22日。
残念ながら、こちらでは7日は雨の日と重なり、また桜の満開とずれたので(22日は満開が過ぎます)、はっきりとした香りを愛でることは出来ませんが、それでも、かすかに香ってくる瞬間はあります。

私自身は、今まで何度か、幸せなことに満月の夜の満開の桜を経験し、本当の桜の香りを知りました。
満月の月光のもと、その光を受けて、ボワんっとぼやけて浮かぶ薄っすらピンクの花びらと、辺り一面に香りだす桜の香り。
幻想的で美しく、天国ってこういう場所で空間をいうのかな?と思わずにはいれませんでした。

そして、その香りはどの時も、境内に咲いている八重桜からでした。

やえ2(八重桜は、その花の重さでここまで枝が降りてきます)

桜餅の香りが1番近いように思います。
懐かしく、子供心を思い出させてくれるような柔らかい香り。
言葉に上手く表現できないのですが、シャボン玉みたいに、触ったら壊れてしまう儚さを持つ桜の香りは、同じように危うさがありながらも、人の記憶に残る忘れられない「印象的」な顔を見せてくれます。

桜だけでなく、どんなお花でも言えることですが、花に鼻をくっつけようにして嗅いでも、花の香りはしないのです。
ふと気付くと、遠くからフワッ風に運ばれる香り。
自分の周りを包み込んでくれるように優しく寄り添ってくれる香り。

身近なセラピストは、自然そのもの。
自然に全てを委ねることは、時に人生の1番のコンパスになってくれたり。
(ポカホンタスみたいに^^)

 

当山の桜は、天武天皇が夢で見た「夢見の桜」が有名ですが、4月中旬〜下旬に満開になるショッキングピンクの八重桜も圧巻です!

やえ
やえ夕陽

そして散り際の真っピンクの花びらの絨毯の華やかな雰囲気が、個人的には1番好きな空間。

桜本坊の境内の桜たちは、4月の吉野山の混雑時をあえて避けるように、ひっそりと静かに咲き、控えめで恥ずかしがりな子達が多いようです^^

絨毯階段

龍
*写真は当山ホームページの写真館より

これからも、ずっとずっと、この桜たちが元気でありますように。
これからも、ずっとずっと、この桜たちを愛で続けれますように^^

ずっとずっと、桜を想う心が、続いていきますように。

ずっと、ずっと。

by anju