ことのは つづり

同じ空の下で

ことのは つづり, 季節

4月7日〜18日、重要文化財である白凰時代の釈迦如来坐像の特別ご開帳、今年も無事終えることができました。

沢山の方にご参拝頂きました。
ありがとうございました。

また出仕者の行者さん達のおかげで、受付けから堂内案内、境内警備に整備、またその他の目に見えない所でのご奉仕に感謝の気持ちでいっぱいです。

毎朝の勤行での法螺貝の、力強く澄み切った音が、境内に心地よい風を吹かせてくれました。

加地さん

特別ご開帳期間中の出来事を振り返り、ハイライトの記事を書きたいと思います^^
8日に行われました 花まつり、朝日新聞さんが取材に来られ、翌日の9日に記事が掲載されました。
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年々、ありがたい事に、メデイア関連の取材も増え、また海外の取材チームの問い合わせも多く、最近ですと、ドイツ、オーストリア、またオーストラリアからチームで来られました。
(修験道や仏教・密教をテーマにした内容のみならず、日本の精神力をテーマにしたものであったり、ジャパニーズカルチャーの1部としてであったり、シューズカンパニーの取材では山伏の衣装や履物についてであったり・・と様々です)

また海外からの観光客の方の増加で、境内・館内・堂内の英語表記も可能な限りまとめ(更なるインターナショナルな環境作りに励みます)、事務でも英語の話せるスタッフがいる時は、積極的に説明や案内を心がけています!
今年は、絵馬や護摩木の願い事は、英語や中国語、スペイン語にフランス語と多いようでした。

目標は、やはり世界に向けてオープンな場所。
言葉や人種の違いを超えた、人と人が共に想い合う心が溢れる場所。

特に護摩に興味を持たれる海外の観光客の方が多く、なかなか仏教用語と専門知識を英語で説明することは難しく感じますが、日本・そして人の底力である「祈る力」「想う力」をもっと伝えて発信できるよう、自身も努力していきます。

また、大変混雑する春の吉野山で、ここ数年、当山のメデイテーション・ルームを目がけて来て下さるリピーターの方も増えました。

広間
百畳の間は、ご拝観される方どなたにも入って頂けます。
(*食事と飲酒はご遠慮いただいております)
鳥の歌声と、外から入ってくる微風、お香の香り・・
桜の景色を、このお部屋から見に来られる方も多いですが、実はそれよりも多いのが、畳の上に座って好きな間だけ静かに自分と対話する空間を求めに来られる方です。
(長い方で2時間以上滞在される方がいらっしゃいました)

帰り際に
「すごくスッキリしました。同時に満たされました^^」
と言って帰って行かれる表情に、こちらも嬉しく思います^^

海外から来られた方も「ZEN」をよく知っておられる方が多いので、よくこの広間で禅を組まれてゆっくりされています。
また、よく鳥が中に入ってくることもあります!先週はフクロウが入ってきました・・!
不思議なことに、障子も破らず、ふすまや書には傷一つつけず無事外へ出ていきました^^
幸せな空間ですね^^

詳細は、また時期を追ってお伝えてしていきますが、6月に東京で奈良を発信するイベントがあり、そのための取材と撮影が、少しずつ進んでいます!
当山からも、住職・書禅家としての顔も持つ奥様・そしてブログを担当しています私も出演させて頂きます!


sneak shots of “behind the scene”….
この日の撮影はドローンによるもので、吉野山の桜をバックに、如意輪寺さんと一緒に映像出演のワンシーンを撮って頂きました。

テーマは『未来』

プロの撮影クルーの皆さんと朗らかな時間が流れ、幸せなひと時でした^^
また日を追って、様子をお伝えしていけたら、と思います!

そして、記事の最初にも書きました、沢山の方に支えて頂き、当山はこの場所を守り伝え続けることができます。
例えば、境内に咲く小さな花一輪、その花が季節になると可憐に咲いてくれるのも、自然界の当たり前の循環のようだけれど、土や草の状態を見てケアして下さり、雨の日も晴れの日も雪の日も・・・境内の言わば土台作りをして下さる方達がいてこそ。
温かな心を向けて下さっているからこそ。
(六根清浄Tシャツの後ろ姿を撮らせてもらいました><)

坂本さん
1年を通して、境内や館内の整備だけでなく、この場所に来ることをライフワークの一つとし、また来るのを楽しみにしているんです、と言って下さる方達の支えで、当山の様々な行事は可能になります。

目に見えない所でのご奉仕について、深く考えさせられます。
沢山の人が見ている時だけ、賑わっている所だけで、人を含め目立つ事の方が取り上げられがちですが、その前後の準備や片付けや掃除、それこそもっと深い所で、普段から作業をすすんでして下さる方たちの姿は、なかなか気づかれません。


春の事務所は、朱印を求められる方の列が絶えない日々。
近畿各地から、泊まり込み、または通いで、春(特に週末)は、事務所にもサポートの方たちが来てくださいます。
どんなに忙しく、目が回るような状態の時も、笑顔を絶やさず、言葉をかけあいながら、とても穏やかな雰囲気が流れる空間を作って下さっていました^^

また朱印はお札と同じですので、一文字・一筆、心をこめて。
朱印ノートを受け渡すことも、一期一会。
すべてがご縁です。

そして、何より大事な、トイレのお掃除。
当山は、常にトイレは綺麗に清潔に保つよう心がけています。
いわゆる・・トイレの神様も大切に^^
普通なら嫌がる作業ですが、そういった現場でこそ、人が嫌がることを、できる限り率先していけるように。
誰も見てないから適当に・・見えるところだけ綺麗に・・ではなくて、誰も見ていなくても一生懸命すること。

普段の日常生活の当たり前ができなくて、日々生かされていることに感謝の気持ちを持つことができなくて、例えば道場に来た時だけ「修行」する、その時だけ、そこでだけ、それでは結局何の修行の意味があるんやろう、とふと思う出来事によく遭遇します。
お掃除の仕方一つとっても、その方の気持ちがすごく表れますよね。
本当の意味での徳の積み方、それは損得の得だけで動いているようでは、いったい何のために「修行」を求めているのか、よく考えさせられます。

以前、一番「無」になれる時とはいつか、住職に聞いたことがあります。
返ってきた答えは、こうでした。

「トイレ掃除をしているとき^^」

人が気持ちよく使ってもらえるように、来た時よりも美しく!をモットーにしています。
おかげさまで、当山のお手洗いは、よく参拝の方に喜んでいただいています^^
ネットでのレビューでも、トイレが綺麗!とお褒めのコメントをいただきました^^
ありがとうございます。

ザッと!書きました^^
このような素敵な方たちに支えて頂いて幸せです。
前の記事でもありましたように「縁の下の力持ち」の存在を、このブログを通してお伝えしていきたいです。

本日の吉野山は、晴天。
ちょっと動くと、汗ばむ季節になってきましたね。
風がむわっと暖かく、初夏を迎える準備に自然も入ったようですね。
夢見の桜の緑色が爽やかです。
八重桜は散り姿までキュートです^^


記事の最後になりましたが・・
今私たちが見上げているこの青空を、どうか、穏やかな気持ちで、愛する人たちと共に見上げる日が早く訪れますように・・・

熊本のみなさんへ、当山からもお祈りしています。
体は関西ですが、心は皆さんと共にあります。
どうか、どうか、ご無事で・・

by anju

やえ

ことのは つづり

さて
吉野山の桜の季節も、そろそろ終盤。
あっという間に時間は過ぎていきました。

しだれ降る
しだれ夕陽
葉桜になった夢見の桜の下にもぐるように立つと、上から枝が降ってくるような視点に、何だか安心感を感じたり。

夕陽が照らされる境内には、そろそろいつもの静けさが戻りつつあります。

今日は、八重桜について。
月の満ち欠けのリズムを意識しながら生活していると、日々、身体やメンタルの変化や流れ、また自然界の変化なども感じとれるようになってきました。

例えば、桜の季節である4月は、桜の香りをふと強く感じる瞬間があります。

色んな所では「さくらの香り」や「さくらの味」のものが多く出回っていますが、本当の桜の香りをご存知ですか?^^

月の満ち欠けと桜の香り。
満月の夜に満開の桜が一斉に香り立つ事は、よく知られています。

満月は Full Moon、生命力が満ちる日。
自然界も、私たち人間も、たっくさんのエネルギーの影響を受けています。

full moon

今年の4月の満月の日は、7日と22日。
残念ながら、こちらでは7日は雨の日と重なり、また桜の満開とずれたので(22日は満開が過ぎます)、はっきりとした香りを愛でることは出来ませんが、それでも、かすかに香ってくる瞬間はあります。

私自身は、今まで何度か、幸せなことに満月の夜の満開の桜を経験し、本当の桜の香りを知りました。
満月の月光のもと、その光を受けて、ボワんっとぼやけて浮かぶ薄っすらピンクの花びらと、辺り一面に香りだす桜の香り。
幻想的で美しく、天国ってこういう場所で空間をいうのかな?と思わずにはいれませんでした。

そして、その香りはどの時も、境内に咲いている八重桜からでした。

やえ2(八重桜は、その花の重さでここまで枝が降りてきます)

桜餅の香りが1番近いように思います。
懐かしく、子供心を思い出させてくれるような柔らかい香り。
言葉に上手く表現できないのですが、シャボン玉みたいに、触ったら壊れてしまう儚さを持つ桜の香りは、同じように危うさがありながらも、人の記憶に残る忘れられない「印象的」な顔を見せてくれます。

桜だけでなく、どんなお花でも言えることですが、花に鼻をくっつけようにして嗅いでも、花の香りはしないのです。
ふと気付くと、遠くからフワッ風に運ばれる香り。
自分の周りを包み込んでくれるように優しく寄り添ってくれる香り。

身近なセラピストは、自然そのもの。
自然に全てを委ねることは、時に人生の1番のコンパスになってくれたり。
(ポカホンタスみたいに^^)

 

当山の桜は、天武天皇が夢で見た「夢見の桜」が有名ですが、4月中旬〜下旬に満開になるショッキングピンクの八重桜も圧巻です!

やえ
やえ夕陽

そして散り際の真っピンクの花びらの絨毯の華やかな雰囲気が、個人的には1番好きな空間。

桜本坊の境内の桜たちは、4月の吉野山の混雑時をあえて避けるように、ひっそりと静かに咲き、控えめで恥ずかしがりな子達が多いようです^^

絨毯階段

龍
*写真は当山ホームページの写真館より

これからも、ずっとずっと、この桜たちが元気でありますように。
これからも、ずっとずっと、この桜たちを愛で続けれますように^^

ずっとずっと、桜を想う心が、続いていきますように。

ずっと、ずっと。

by anju