縁の下の力持ち

タタズマイ

ボーダーレス, ことのは つづり, 縁の下の力持ち, 祈り, 季節, 行事, 想い
境内の八重桜が満開を迎えました。
お堂周りを歩いていた時に、ふわっと鼻をくすぐる八重桜の香り。
満月が近づく中、より一層香りは強くなってきています。
境内にある銀木犀にも言えることなのですが、花びらに鼻をくっつけても、香りはあまり感じず、ふとした時に遠くからフワッと香ってくる花の香りに、自然の優しさを感じます。
忘れた頃に「あ、ずっと寄り添ってくれてたんだな」と気付く、花の香り。
こういった香りも、私達に寄り添い、祈りに寄り添っている。
私達も、こんな風に人に寄り添える存在でありたいです。
4月7日から始まりました「天武天皇ご念持仏 釈迦如来坐像」特別ご開帳は、昨日17日に無事結願を迎えることができました。
多くの方のご参拝と新たなご縁に感謝申し上げると共に、ご開帳期間中に出仕して下さった、縁の下の力持ちの皆さまへ深く感謝申し上げます。

また4月8日は、お釈迦様の誕生日をお祝いする花まつりが執り行われ、ただたんに「お釈迦様の誕生日を祝う」ことだけでなく、私たち1人1人全ての命を祝福する日、とあらたに意識を強く持って頂けたのではないでしょうか。

すべての命がかけがえなく、すべての人生が尊い。
この命を命がけで生きている日々全てこそ、祈りそのものであり、自分へ人への愛であり、そして感謝と恩返しであるのだと思います。

また4月8日は「SAKURA」についてのプロジェクトとご縁があり、天武天皇 夢見の桜・花まつり法要・そして吉野山の桜を撮影&取材のため、フランスからクルーを迎えることができました。

「祈り」「命」「人生」の観点から見る桜と、桜がもつ浄化力と純粋性。

何でも、目に見える-visual-が目立つ世界ですが、心を震わせる目に見えない-invisible-なインナービューティーの真髄として、吉野山の桜にスポットライトがあたりました。

3か月近くに及ぶ、メールと国際電話による事前打ち合わせの中で、私たち自身も、あらためて「桜」への想い、また日本人のスピリットのルーツに気づかされ、大変貴重な時間をシェアできました。

365日中の360日を準備期間とし、咲くために育む命の時間も美しく、蕾、桜花爛漫、そしてヒラリと散っていくその姿に、人は人生を重ねます。

桜は人生のシンボルであり、生きていく中でREMINDERとしてその姿を見せてくれていること。

人生は想像しているよりもずっと短く、そして息を飲むほど美しくて、命あるからこそ、この命を守りしっかり生きていく使命が私たちにはあります。

その命の時間を、4月8日という特別な日に、SAKURAを通して、国境や言葉や宗教を超えて共有できたこと、まさに「星の王子さま」の言葉達を1つ1つ辿るような想いをシェアできたこと、大変幸せに感じました。

桜だけでなく、植物も自然も、当たり前のように季節を循環し命を育んでいるようで、そこに意識や想いを向けないと、共に寄り添い合わないと、枯れてしまうものであると強く思います。

「天武天皇 夢見の桜」がまさにその象徴ではないでしょうか。
心の向けどころ
意識の向けどころ
結局全ては心があってこそ
想いがあってこそ
当たり前に見えること
当たり前に思っていることに
辿り着くまでの道のりを忘れない
この道を歩み出した時の
初めの第一歩を忘れない
道を歩む心持ち
その心の軸さえ忘れなければ

 

祈りに光が満ちていく

光に祈りが

満ちていく

Anju

リーフレットリニューアル

ことのは つづり, 縁の下の力持ち, 季節, 想い, 神仏

Our original leaflet handing to pilgrims is updated. “Origin” has to be respected and appreciated in order to realise the ground we stand at.

4月より、ご参拝の方にお渡しするリーフレットがリニューアル致しました。

ご参拝される皆さま方が、自分の優しさと強さに気づいて頂き、もっと身近に神仏のあたたかさを感じて頂きたい、「真心」と「光」が満ちる空間を一緒に築いていきたい。そのような、我々の想いや願いを込めました。

こちらのリーフレットを作成するにあたり、櫻本坊という存在を、客観的に見る機会と、私たちの意識というものも育てられたように感じます。

デザイナー・安達えみさんは、そういった私たちの想いを理解して下さり、素敵にまとめて下さいました。
ありがとうございます

Anju

「母は強し」-役行者母公のお話-

ことのは つづり, 縁の下の力持ち, 祈り, 想い, 聖地, 神仏, 修行, 大峰山

There is a statue of En no gyoja’s mother in one of the halls at Sakuramotobou.
Just like us, the founder of Shugendo En no gyoja had mother. While the mountains resounded with his prayers and spells, she was also praying for him.

When people heard of Shugendo, so-called “tough trainings” “performing-like rituals” were more likely focused and stood out; but that’s not all of its world.

There is always another side of story and different point of view; we would like to share also the gentle vibe through his mother:)

どうしても荒々しいイメージを持たれることの多い修験ですが、それは全体の一部。それが全部ではありません。
当山の大講堂-大広間-には、聖観音像・役行者母公像が鎮座されています。

実際お参りして出会って頂くと、「大丈夫よ」と安心させてくれるような観音さんの穏やかさと、「迷わず進みなさい」と言ってくれているような、丹田から湧いてくるお母さんの力強さ…

何とも言えないお二方の存在感を感じて頂けると思います。

この空間もまた、陰陽そのもの。

修験道の開祖である役行者さんにも、私達と同じように母の存在があり、臍の緒そのものである命の絆がありました。

役行者さんが山で行をされている間、同じように母も祈り息子を想う。
母が子を想う気持ち、子が母を想う気持ち、どの時代も、その繋がりは密接です。

そして…どの時代も、母は強し。

私たちは、身近に当たり前に居てくれている存在を、ついつい忘れがちです。

生かされているのに、自分1人の力で生きれているように感じたり、人の支えがあってこそ達成できることも、まるで自分1人で全部やったと勘違いしてしまったり。

役行者さんも、愛の源である母、側で心身尽くしてくれる前鬼・後鬼、自然の包容力、祈る先に繋がる神仏…

全てが一体で一如で、役行者さんたった1人で歩んでいた道ではない、と思います。

だからこそ、祈願の前に、まず感謝をする心を忘れない。

誰1人として、たった1人で歩んでいる道はなくて、たった1人で成し遂げれることはないと思うから。

自分を人を思いやる気持ちの先に、繋がる祈りと愛があることを、大講堂の空間は教えてくれています。

Anju