ボーダーレス

祈る姿は無防備

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神仏の前で静かに手を合わせる時、その姿と時間は、無防備になります。

手を合わせる時間は、その人にとって最も大切な人やものが、フィルターなしに頭に浮かびあがる時間であり、最も悩んでいる事に対して想いを巡らす時間であり、そして、最も人間らしい感情が湧き出る時間であるからです。

いつもより少し多めに泣けてきたり、笑ったり、怒ったり。
込み上げてくる様々な感情も、無防備だからこそ。

あの人に面と向かって言えなかった、「ありがとう」や「ごめんね」を言える時間。
怒りや苦しみを与えてくるあの人に、「なんで?」「どうして?」「もしかしたら、自分も似ている所があるのかな?」と問いかける時間。
自分の過去の反省や後悔に、「今だからこそ…」「これからは…」と新たな決意やケジメをつける時間。

いずれにせよ、祈る姿は、とことん正直で、素朴で、純粋で、無防備です。

大切な人やものを想う、祈る時間が与えてくれる強さは、人生の中の優先順位を明確にしてくれる。

自分にとって大事なものが分かっていて、大事にしたい(している)存在がいる…そこがブレなければ、前向きに生きる力は、間違いなく人生に添い続けてくれる。

「お寺を守る」ことは、建物や仏像、境内の維持管理が全てではありません。

安心して、自らの表も裏も曝け出し、大切な想いを率直にシェアできる…無防備になれる場所に集って下さる、ご縁ある皆様の貴重な時間と、そして心を守るのが、「お寺を守る」最も大切な勤めであると、日々実感いたします。

「絹本著色 不動明王二童子像」修繕終了のご報告

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令和3年、奈良県指定文化財に新たに指定されました、当寺院所蔵仏画 鳥羽法皇奉納「絹本著色(けんぽんちゃくしょく) 不動明王二童子像」は、県内に残る希少で、図像的にも特異な平安仏画(掛け軸)です。

2021年に行われた調査の結果、仏画の痛みが激しいため、本格的な修復が必要となり、2023年5月10日、なら歴史芸術文化村の「文化財修復・展示棟」内へ修理に入られました。

先だって修繕現場にて定期見学があり、今月、無事に修繕が完成いたしますことを、ご報告します。

携わって下さっている、全ての関係者皆様へ、心からの敬意と感謝を申し上げます。

また、この度の仏画修繕を実現して下さった、公益財団法人 朝日新聞文化財団様、奈良県文化財保存課様、宝聚堂ご参拝の折にお心添え下さった皆様、心より御礼申し上げます。