GAGA | ブログ@櫻本坊

やまと ことのは つづり

何かを伝えることよりも大切なこと

兵庫県 甲南大学にて 「死生学 〜日本の死生観〜」の講義をさせて頂きました。

将来、臨床心理士・公認心理師・心理カウンセラーを目指す生徒さんが多く受講されている、こちらの講義。

家族や友人・パートナーという、大切な人の「死」を経験することは、遅かれ早かれ、平等に全員に訪れること。

その「いつか」の順番が、自分にきたとき。
その「いつか」を迎え、どう死を捉え、生の覚悟へと繋がていけるかを、懸命に模索している人が、目の前に現れたとき。

もちろん、精神と身体を引っ張り上げていく、言葉のチョイスや、専門的な技術は必須です。

でも同時に、忘れないでほしい、心に留めておいてほしい、と皆さんへ願うのは、諦めずに「心を向ける」こと。

薬や治療法があったとしても、それだけ処方して、それだけ飲んでいればいい、というものではないこと。

精神と身体は医療で救えても、心がなければ救えないのが、心なんだよ、ということ。

お寺は医療従事者ではないけれど、祈りのクリニックとしての役割があります。

日々、心身の当病平癒のご祈祷相談が最も多い祈祷寺として、死生観について深く考えさせられる現場にいて、何かを「伝える」こと以上に、「聴く」ことも、相手の生きる力に繋がると、気づかされました。

祈る時間は、聴く時間でもある。

ご家族の当病平癒祈願でお参りに来られていた方が、「物理的に命は救えなくても、本人も、私たちも、心は救われた」と仰って下さった一言と、安らかな表情が、今でも忘れられません。

心を救える、心のある「聴く力」を養い、これから人を救っていかれる立場を目指す若い学生さん達の未来を、微力ではありますが、しっかりと支え続けていける寺院でありたいです✨

初雪の吉野山

初雪の吉野山

朝はすっかり冬景色の吉野山となりました。

確実に季節は移ろうなか、遅染めの紅葉の美しさが一層際立つ今日この頃。

令和8年度『節分会』 祈祷札 オンラインお申込開始のご案内

令和8年度『節分会』 祈祷札 オンラインお申込開始のご案内✨

厄除けの御利益で信仰の厚いご本尊「神変大菩薩」の御前で、毎年2月3日 節分会 開運厄除けのご祈祷護摩法要が厳修されます。

私たちは、生まれながらに定められた「自分の生まれた時の星」と「(年齢による)毎年の星」のもとで生きています。
それは吉凶不同で、時には変えられない運命もあるなかで、いかにして、災いを転じて福と成していける心構えを持てるか、未来を信じる強さを持てるか、で人生の過ごし方が左右されると考えられています。

特に「春」が始まる前日、新しい1年が始まる前日 2月3日に、その「自分の生まれた時の星」と「毎年の星」を祀り、
「これから始まる新しい1年、大難が小難となりますように」
「どのような時間や経験も、良い方向に導かれますように」
との願いをこめて祈るたいへん重要な節目の行事が、節分です。

櫻本坊公式HP『節分会』ご案内ページより、開運厄除ご祈祷札のお申込受付を開始いたしました。

従来のように、紙面に直接必要事項を記入して頂き、郵送・FAX・メール添付などを通してのお申込みも受付ておりますが、オンライン申込も新しく追加いたしましたので、ご活用ください。

詳細・お申込は、当HP下記リンク先よりご確認頂けます✨
https://sakuramotobou.or.jp/event/2026/20260203.html

AI的な効率性とは真逆の考え方であったとしても

本年も、兵庫県 甲南大学にて、非常勤講師として「死生学」の講義 「日本の死生観」を担当させて頂きました。

「死生学」の受講希望者が年々増え続けているそうで、今年も沢山の生徒さん達とのご縁に恵まれました。

毎年、本講義を通して、非常に前向きに捉えて下さる学生さんが多く、心から嬉しいことです。

その中でも特に嬉しかった感想文には
………

「生老病死という避けられない無情を前提にしつつ、では、どう生きるかへと転換していくか。それでも、祈り続ける、という姿勢に、血の通った人間としてのあたたかさを感じた。修験道は昔の話ではなく、私たちの年代に役立つ考え方が現在進行形でたくさんあると知り、もっと学んでみたい。」

「役行者の生涯や、山伏の実践に込められた精神は、単なる宗教史の一項目ではなく、人としてどう生きるか、生き方そのものを問う教えとわかった。AI的な効率性とは真逆の、一歩一歩その日の生活の中に道を見出すという考え方に、現代に生きる私たちが本当に大切にすべきものを教えられた講義だった。」

「明確な神が存在し、その神の教えに従う生き方ではなく、常に自分たちが人間であることを意識した生き方や、特別な存在にならなくても、日常の中で心を正しく保ち、人の幸せを思い行動することで、自分自身を高めていけるという、前向きな姿勢に感銘をうけた。」

「自らの心身を鍛えることは、単に自分の成長のためだけでなく、周囲の人々を励まし支える力にもなる。懺悔は、自分を責めるためではなく、ありのままの自分を見つめ直す行為である。そこから感謝が生まれ、日々の生の受け止め方が変わっていく。人間の様々な苦しみに寄り添いながらも、最終的には自分の力で前へ進めるよう背中を押す、修験道の現実性と実践性を聞き、今の自分の生き方を見直すきっかけとなった。」

………
お互いの姿は見えなくても、何をやっているか分からなくても、世界のどこかで、誰かが誰かを想い、人を想い、社会を想い、どこかで必ず、全ての生命は繋がっていることに気づく。

想いにこたえていく、形として目に見えなくても、その先に結ばれる心を、信じてー

講義は、今週も続きます✨

あたたかいご縁に結ばれ続けて

11月1日から1ヶ月間、特別ご開帳しておりました宝聚堂(宝佛殿)、昨日無事に結願の日を迎えることができました✨

ご開帳中にご参拝下さいました皆さまとの、あたたかいご縁に、心より感謝申し上げます✨

今月も、穏やかで優しさが行き交う日々となりますように✨