得度受戒会での精進薬膳料理ー
生きる力を与え、思考・人相・性格・生き方を左右する、薬となる食の大切さ。
季節ごとの自然の生命を頂くことへの感謝。
そして、目の前の食事を頂くまでの、多くの方々のあたたかい想いと手間に、感謝する心を忘れないように。
*修行者の心身の健康と浄化を願い、化学調味料は一切使わず、オーガニック野菜使用・調味料は無添加、手作りで整えております。
今夏8/31〜9/1に予定しておりました得度受戒会は、同週に発生していた台風の影響で延期となっていました。
あれから3ヶ月ー
受ける側も、受け入れる側も、心構えを更に育てる貴重な時間を頂き、初霜雪降る今週末、1泊2日で無事に執り行われています。
手を伸ばせば届く「尊い教え」は、日常生活から切り離した、もしくは、かけ離れたものではなく、目の前の日常生活・社会生活・人生そのものが全て鏡となります。
「修行」「修行じゃない」ではなく、生き方なんだ、ということに、今一度気づく。
なんらかのゴールに至る手段でもなく、何回やって結果がでる、ものでもなく…「尊い教え」を知識で完結せず、知恵として実現していくための、生き方の糧とする。
この心構えと選択の積み重ねが、日常の尊い「祈り」であり、人への「思いやり」と結ばれていくと信じています。
……
心新たに生まれ変わり、神仏へ、十の約束(十善戒)を守る誓いをたてる、大変重く荘厳な儀式「得度」。
神仏の「道 」と「教え」に出会い、その世界へと「渡り」歩ませて頂く「機会を得る」、そして人の模範となる心構えと言動への心がけを誓うことが「得度」。
12月5日、兵庫県 甲南大学にて 「死生学 〜日本の死生観②〜」の講義をさせて頂きました。
受講されている生徒さん達の多くが、将来、臨床心理士・公認心理師・心理カウンセラーを目指しておられます。
身近な家族や友人・パートナーという、大切な人の「死」を経験することは、遅かれ早かれ、平等に全員に訪れること。
多感な年代の皆さんに、その事実をお伝えすることは、毎年悩ましい想いもあります。
しかし、学生さん達からのフィードバックには、毎回とても肯定的で前向きな文章が裏のページにまで溢れていて、私たちの方が、いつも生徒さん達に「救われている」ような感覚になります。
大切な人を失くす悲しみや苦しみは、治るものではありません。現実の、厳しさと無常さ。
そのような過酷な現実が、全員に必ず「いつかくる」ことを知りながらも…
「喜びも悲しみも、誰とどんな思い出を共有していきたいか。時間は有限であっても、心の豊かさや想いは、無限に広がるという可能性を知った。」
「自分だけではなく、周りの家族・友人・恋人を幸せにしたい。笑顔にしたい。大切にしたい。そうすることが自分の幸せだと、あらためて感じた。」
「想いや言葉は、人を生かす。人が寄り添い合うあたたかさを、日常で忘れていた気がする。人を愛し、人に愛される人になりたい。生き方を考え直すきっかけになった。」
「今を生きる僕たちが、その想いや願いを、受け継ぎ引き継いでいかなくてはならない、そう誓えた時間だった。絶対、必ず吉野山に行きます!」
…「寄り添いたい」「手伝いたい」と願いを向け続けた先で、気づけば私たちが寄り添われ、救われていることに、言葉では言い尽くせない感謝の気持ちが、生徒さん達と出会う度に溢れます。
若い皆さんの未来を、微力ではありますが、これからもしっかりと支えていける寺院でありたいです✨
当寺院 宝聚堂にてお預かりしております、豊臣秀頼奉納『大般若経六百巻』の調査が、東京大学史料編纂所様・元興寺文化財研究所様・和歌山県立博物館様・大淀町教育委員会様合同で行われています✨
数年に渡り続く本調査、今年2回目のご来山で、調査員皆さまのご尽力に、毎回尊敬の念は深まる一方です。
近年、櫻本坊で祀りお預かりしている神仏像や、宝聚堂の奥で眠っている史料などへの調査が増加し、年間を通して、専門職の皆様との有難いご縁が深まりました。
我々のように、お寺に携わっているだけでは分からないこと、伝えていけないことが、数多くあるなか…誰かが興味を持ち、誰かが持つ知識と、誰かの尊い努力で残さないと、消えていく、沢山の大切なこと。
その選ばれし「誰か」の重要な役割を果たして下さっている、専門家 研究者 調査員皆様方の有難い存在に、心からの感謝を申し上げます✨
ps いつも快く、大変貴重な作業現場の撮影許可を頂きますこと、重ねて感謝申し上げます。
11月28日(木) 兵庫県 甲南大学にて、非常勤講師として「死生学」の講義 「日本の死生観」を、担当させて頂きました。
年々、「死生学」への受講人数が増えているそうで、今年も沢山の生徒さん達とのご縁に恵まれました。
神道や仏教にそもそも興味がない、修験道・山伏という言葉を聞くのは試験勉強以来、普段お寺に行くことも、お坊さんに出会う機会も滅多にない、という若い方が多いなか、本講義を通して「もっと知りたいと興味が湧いた」「柔軟性と親しみを感じた」「腑に落ちた」と非常に前向きに捉えて下さること。
とても嬉しかった、頂いた感想文の中には…
「幸せは、人に分けると減って、自分が損するだけ、ずっとそう思っていた。でも、ひとつの松明から何千人が火をとっても、松明は変わらず燃え続ける、というお話を聞いて、考え方の大きな変化と、今後の人生の幸せについて、深く考え直せた。」
「当たり前だと思っていた、挨拶や感謝の気持ちを、今まで以上にしっかり声に出して伝えていきたい。気持ちを表現することは、決して恥ずかしいことじゃないと勇気をもらった。」
「登る山の高さで、修行の良し悪しが決まるのではないこと。何をどこでするか、ではなく、どんな思いで、いかにその思いを信じるか、の重要性に感心した。自分たちも、ここで実現可能なことがある、と希望がわいた。」
「自分の欲や煩悩をなくすため、自分だけのために修行してると思っていたが、他者や社会の安らぎを願うのが修験道の始まりと知り、とても美しい精神性だと思った。」
…お互いの姿は見えなくても、何をやっているか分からなくても、世界のどこかで、誰かが誰かを想い、人を想い、社会を想い、どこかで必ず、全ての生命は繋がっていることに気づく。